『村の人間VS屍鬼』

屍鬼は心臓が止まっていて呼吸もしていないが
脳は生きていて人の生き血を食料にして生きている。
生前(心臓が停止する前)のままの性格と思考をもっている。

屍鬼は人を狩らなければ生きてはゆけない。
人は屍鬼を狩らなければ生きてはゆけない。
屍鬼にとって人は食料であり、自分の親や子や友人である。
人に取っては屍鬼は自らの命を脅かす敵てあり
自分の親や子や友人である。

屍鬼を狩らなければ人は生きてゆけないが、
屍鬼を狩る為には屍鬼の心臓に杭を打ち込まなければならない。
自分の親や子や友人であった屍鬼の心臓に。

そして集団大量殺戮がはじまる。

これを読んでいると
以前住んでいた田舎の集落を思い出さずにはいられない。
東京から引っ越して行った私たち家族は
あの集落の中であきらかに異物だっただろう。
私自身が幼かったのであまり切実には感じなかったのだけれど
それでも自分が「何か違う人」と見られているとわかった。
どうしてもこの物語の屍鬼の立場に自分を重ねたくなった。

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